ロマンスカー

初めてロマンスカー(小田急線の有料特急)に乗った。

ロマンスカーというと僕は小学校の頃のことを思い出す。
教室の南側の窓から小田急線が走っているのがよく見えた。別に電車が好きということもなかったが、一般車両とは色も形も異なるロマンスカーが走っているのに気がつくと、とりあえずやっていることを一時中断して走り去っていくのをただじっと眺めていた。おばあちゃんの家に帰るのに新幹線を使うことはしょっちゅうあったが、小田急線でどこに行くにもロマンスカーには一度も乗ることがなかったので、ロマンスカーはなんとなくグレードの高い乗り物という位置づけを得た。今でも僕の中では新幹線よりロマンスカーの方が等級が上にいる。

これまでにも乗ろうと思えば乗ることはできた。浪人時代に新宿の予備校まで夏期講習に通った帰りに乗ろうか迷ったこともあった。だが結局一度も乗ることは無かったのは、学生無勢が乗っていい乗り物ではないとでも思っていたのかもしれない。今も一応学生身分ではあるが。

そんなロマンスカーであるので、20年来の願いがかなっての初乗車はとても感慨深いものだった。残念ながら僕が小学生だった頃に走っていたロマンスカーの車両とは系統の異なるものだけど、帰宅途中のサラリーマンでごった返す駅のホームを眺めながら悠々と帰宅。ロマンスカーに乗って帰れるんだったら東京勤務も悪くはないなとさえ僕は思うのだった。