科学論文におけるアブストラクトとイントロダクションの位置づけ
人は見た目が9割。論文もアブストが9割
かどうかは分かりませんが、人に読まれる論文にするには導入が大事。
個人的に指導を受けた内容などを備忘録を兼ねてエントリにまとめます。
アブストラクト
その論文をふと手に取った人、あるいは自分の研究に関する論文を探している人が、その論文を読むか決めるための情報を提供することが目的
- 端的に「結局のところこの論文で何をやったか」を書く
- 背景などの前置きは不要(この点に関しては人によって意見が異なる)
- ある人が読んで「はて、これはどういう背景でそんな話になるんだ?」と思えば、多分その論文はその人には関係ないので読む必要がない
- 中身としてはイントロダクションの後半を要約したようなものになる。
- 決してイントロダクションの前半を要約したようなものではない。
具体的には
- 提案する技術
- 「本稿では○○に基づいて△△するための××方式を提案する」のような書き出し
- 「近年、。。。という状況により」というのはイントロで書くこと。
- アプローチの概要
- 「具体的には○○計算によって△△を求め、××を判定する」など
- 評価・検証の方法(とその結果)
- 「提案手法の有効性を検証するため、○○を対象とした△△のデータを用いて、××となることを検証する」など
のような形式
イントロダクション
その論文を読むと決めた人が、その論文の基本的なストーリーを知るためのもの
- 単に「何をやりました」で終わってはダメ
- 研究はなんとなくでするのではなく、ある問題点があってそれを解決するために行うもの
- 取り組んでいるのが重要で解決すべき問題であることを読み手に納得させる
- でなければ、「こんな研究して意味あるの?」の一言で終わってしまう
具体的には
- 必要なら背景説明。わかりきったことなら省略可能
- 現在存在する問題点の指摘。解決するとどんな嬉しいことが待っているか
- その問題点の分析。結局何がいけないのか。どうしてそうなるのか等について
- その分析に基づき、この研究では基本的にはどういうアプローチによってその問題点を解決するのか
- で、結局何をやるか、どういう物を作るか
いきなり「○○をやります」ではなく、この問題に取り組む必然性を読む側に納得させるように書かなければいけない