ハッカーと画家
ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち
posted with amazlet at 12.06.19
ハッカーである著者がWebに書いたエッセイ集で、この本を三行で要約するなら
- ハッカーは必要
- ハッカーを集めることが企業の勝利の鍵
- ハッカーじゃない奴らには分からないと思うけどな
というもの。
出版当時は洞察鋭いものだったのかも知れないが、今となっては当たり前のことも多い。しかし、それはつまり著者の観察通りに世界が進んだということでもあり、それはそれでなかなか凄いことだと思う。
個人的に面白いと思った箇所はいくつかあるが、最終章「素晴らしきハッカー」にある次の一節は特に心に残った
彼(フレッド・ブルックス)は生産性を、コードの行数で測って、一番のプログラマは与えられた問題を10分の1の時間で解くとした。でも、問題が与えられていなかったとしたら?ほかの多くの分野でも同じだが、プログラミングでも、難しいのは問題を解くことではなく、どの問題を解くかを決めることだ。想像力を測るのは難しい。が、現実にはそれはコードの行数で測られるような生産性をはるかに凌駕するだろう。
まさしくその通りだ。言われたことを言われた通りにこなすだけなら、人間はコンピュータには遠く及ばない。
ハッカーの立場からの考察が多いので、本書を読んで同意できる点が多ければ、ハッカー的資質を備えていると言えるのではないだろうか。