経済ってそういうことだったのか会議

「経済ってそういうことだったのか会議」という本を読みました。


この本は、経済学者の竹中平蔵さんが佐藤雅彦さんの経済に関する質問に答えるという、所謂対談形式の本です。佐藤雅彦さんはピタゴラスイッチの監修とかやってる人です。
僕は経済については全くの素人ですが、そんな僕にも読めるように配慮してあって、経済学を学ぶための入門書としてとても優れた本だと思いました。
というのも、経済の専門家である竹中さんが、非専門家である佐藤さんに説明するという形式なので、竹中さんは専門用語を使う場合にも、いちいちその言葉の意味や成り立ちを佐藤さん(と読者)に分かるように説明しているのと、欄外に専門用語の分かりやすい説明文がついているので、専門外の本を読んでいて陥りがちな「そもそも何を言っているのかが分からない」ということがなかったからです。
本の内容は「貨幣と信用」「株」など、経済学を構成する要素を一つ一つ取り上げていきます。僕は特に第5章「お金が国境をなくす…円・ドル・ユーロ」が読んでいて面白かったです。

お金が国境をなくす…円・ドル・ユーロ

恥ずかしい話ですが、僕はこの本を読むまで「世界の通貨は1つに統一した方がいいんだろうし、されるだろうな」と考えていました。コンピュータの世界で統一規格って何かと便利じゃないですが。HTTPとか。
その延長線上で、通貨も1つの方が便利だろうと。そうしたら海外旅行もしやすくなるしねー、なんて単純に考えていたのです。逆に、現状でそうなっていないのは、各国の利害関係が一致していないから、みたいな理由なんだろうと思っていました。
でも、本書によれば話はそう単純なものではないようで、竹中さんは各国が独自の通貨を持つメリットについて次のように述べています。

p172
メリットというのは、いわゆる通貨主権を持てるということだと思うんです。(中略)この通貨主権を放棄してしまうと、北海道経済の運営は東京の判断に委ねられるわけです。もちろん東京に対して北海道も代表者を送りますから、意思決定には参加できますが、ほかのところがすごくよくて北海道だけが悪い場合は、むしろ自分のところで通貨主権を持っているほうがいい場合だってあります。

ここで北海道経済、と言っているのは、話の流れの中で、日本国内の通過が円に統一されていなかったらどうか、ということを話しているからです。
そして、これは完全に目から鱗だった話なのですが、日本国内で経済格差が起きているのは、日本国内で貨幣が統一されているから、という面があるということです。
資本主義経済において、資本は勢いのあるところ、つまり都会に集まります。その結果、地方にはお金がなくなります。もし、地方が通貨主権を持っていれば、金融緩和などの金融政策を実行できますが、通貨が統一されているのでそれはできません。そうなると、人は都会に出稼ぎのようなことをせざるを得なくなるので、ますます都会に人とモノが集まる。こんなサイクルが見えます。
そして、この話を単純にスケールを大きくして、世界の通過が一つだったとしたらどうなるか。うーん、考えたこともありませんでした。

というわけで

本書は、僕みたいに、ごくごく表層的な知識しかもってないような人が経済について知るにはとても良い本だと思います。これで経済というもの自体に興味を持ったので、次はもうちょっと理論っぽい本にでも手を伸ばしてみようかと思う次第です。

RealBookMarkへの書き込み

p193
日本の地方で過疎が起きるのは、日本国内で通貨が統合されているからで、同様に、世界で貨幣が統合されたら国家単位の過疎が起こるかも知れない。面白いなー
http://realbm.com/users/taka84u9/record/100/

p265
『個人の財産の私有を認める代わりに自らが責任を負う、というのが資本主義ですよね。』自らが責任を負う、というのが醍醐味。
http://realbm.com/users/taka84u9/record/102/

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