給与交渉で最高の金額を引き出すには
- まず何より自分の価値を知る。平均給与を調べたり、給与スケールを知る人に聞いてみるとか。
- 交渉する機会は、面接の後だけどまだ受け入れていない段階だ。面接の段階では、この話を面接側が持ち出さない限り、けっして給料について言及してはいけない。会社があなたを最高の候補者だと確信するまで我慢する。
- 面接の間か終わった後、自分が候補者として好ましいかどうかを聞きだす。
- 会社側が給与の交渉の場を用意することは滅多にないし、給料の話を持ち出すことすらないのが普通。給与交渉のために会社側を呼び出す必要があるだろう。その時、相手はNOと言うだろうが、自分の能力に自信がある場合は固執しなければいけない。
- もし先にあなたが金額を提示したら、それはあなたの負けだ。
- もし会社が金額を提示したら以下のように行動する:交渉人に渡された紙を返し、頭の中で30数えながら相手をじーっと見つめる。90%の確率で会社はもっと高い金額を提示してくる。
- 提示金が自分の期待金額より良くても交渉する。
- この一連の行動が直ぐに効果を発揮しなくても、これらは覚えられていていずれ給料の上昇につながっていく。
Negotiating Your Salary 6th Ed
- 作者: Jack Chapman
- 出版社/メーカー: Jack Chapman
- 発売日: 2008/10/01
- メディア: ペーパーバック
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なぜ、先に金額を提示したら負けなのか?その考察は以下に
とある物語*1
中途で採用された田中と太田という二人のプログラマがいました。(二人は同じような評価を受け採用た、とする。)
二人は給与交渉のため会社を訪れました。田中は交渉しなかったので年俸400万円で契約しましたが、太田は交渉の結果田中より20万円高い年俸をもらうことになりました。実はこの会社の給与は年率3%で上昇することになっています。その結果、二人の給与は...
年 | 田中 | 太田 | 差 | 差の蓄積 |
---|---|---|---|---|
1 | 4,000,000 | 4,200,000 | 200,000 | 200,000 |
2 | 4,120,000 | 4,326,000 | 206,000 | 406,000 |
3 | 4,243,600 | 4,455,780 | 212,180 | 618,180 |
4 | 4,370,908 | 4,589,453 | 218,545 | 836,725 |
5 | 4,502,035 | 4,727,137 | 225,102 | 1,061,827 |
5年後、太田は累計100万以上多くの給与をもらいました。その太田はお金で車を買いました。めでたしめでたし
本論
前置はこのくらいにして、ここで考えたいのは
給与交渉の場で会社側に「ここに君が望む年俸を記入してくれたまえ」と言われた時、どのように行動するべきなのか?
ということです。
- 正当な評価だと思う金額を提示すればいい?
- 思いっきりふっかけてみる?
実は、この問題における最良の戦略は
何も書かずに返す
です。
ゲーム理論で考える
何故これが最良の戦略なのか、ゲーム理論に従って考えてみましょう。
この“何も書かずに返す”というのはつまり“会社側に先に金額を提示させる”ということです。ここで、提示する金額にH(High)とL(Low)の二つがあるとします。被雇用者と雇用者がそれぞれ2通りの金額を思い浮かべるので、全部で4通りの組み合わせが生じることになります。被雇用者はできるだけ高い金額がよく、被雇用者はできるだけ低い金額の方がいいと考えています。
1被雇用者が先に金額を提示した場合
L | H | |
---|---|---|
L | LL | LH→LL |
H | HL→最悪なかったことに | HH |
被雇用者がHの給料を得られる確率は25%です。
雇用者はできるだけ低い方がいいので、被雇用者がLを提示し雇用者がHを思い描いていた場合HからLに提示金を引き下げます。なのでLHはLLになります。
一方、HLの場合、最悪今回の契約自体が流れる可能性もあります。
2雇用者が先に金額を提示した場合
L | H | |
---|---|---|
L | LL | LH→HH |
H | HL→LL | HH |
この場合Hを得る確率は50%です。
*1:この物語に登場する人物は実在する人物とは一切関係がありません。